自己啓発セミナー対策ガイド
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▼自己啓発セミナーとは
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自己啓発セミナーの定義
自己啓発セミナーの起源
コース構成(ライフ型)
代表的な実習(ライフ型)
実習一覧表(ライフ型)
近年のセミナー事情

代表的な実習(ライフ型)) 2004/04/01

自己啓発セミナーの構成要素

 ライフ型セミナーは、レクチャー、実習、瞑想などから構成されています。
 レクチャーは、知識を教え込むというよりも、自己啓発セミナーでの考え方や実習の説明、ひとつのゲームや瞑想の区切れでのお説教など。トレーナー(講師)が一方的に講釈をたれる、いわゆるレクチャーのイメージとは少し違います。葬儀や結婚式の司会者を、過度に熱血にしたようなもの、とでも言えばいいでしょうか。怒鳴ることもあれば涙声になることもあり、しんみりとしたナレーションのような話し方もします。もちろん、身振り手振りもまじえますし、受講生に反応を求めたり発言を求めたりもします。実習の最中にトレーナーが受講生を煽り立てることも多く、これら全てをあわせると、トレーナーが喋っている時間は、自己啓発セミナーの中ではかなりの割合を占めます。最終日には、受講生はもちろんですが、トレーナー自身、喉がガラガラになってしまいます。
 実習は、得点を競ったり体を動かすレクリエーションのようなものから、“沈没しかかっている船の中” など、指定された状況・場面と手順に順じて発表をしたり行動したりするロール・プレイのようなもの、決められてテーマで他の受講生と会話したりするものなど、様々です。レクチャーの内容については、自己啓発セミナーごとで若干の違いはあります。しかし実習に関しては、どのセミナーでも概ね同じです(実習の名前は、セミナーによって違うものもあります)。セミナーの途中で、実習での体験を振り返ったり、受講生自身が発表をする場面もあります。
 瞑想は、宗教的な雰囲気を連想する人も多いかもしれませんが、目を閉じて、「両親や自分の子供時代を回想する」というようなものがメインです。
 ここでは、ライフ型セミナーのほぼ全てで行われていると思われる、代表的な実習について、ざっと解説します。いちおう、両親などに関する瞑想も、実習のひとつとして。これを読んだ上で「実習内容一覧」を見ていただければ、自己啓発セミナーの全体像はある程度わかっていただけるのではないかと思います。

瞑想

 瞑想は、自分の子供の頃や親など、何らかのテーマについて「回想する」「思い浮かべる」というものです。セミナーによっては、瞑想という呼び方をしない場合もあります。
 BGMで演出されたトレーナーのナレーションに従って、幼少期の自分、自分が押さなかった頃の両親などを思い浮かべます。実際の記憶だけをさかのぼるのではなく、かなり想像まじりです。
 最終的に、受講生たちは、「お母さん!」「お父さん!」などと声に出して呼びかけるよう促され、“両親に対して言いたかったけどいままで言えずにいたこと”などを、めいめい口に出して言わされます。ここでは、BGMの曲は少し激しいものになり、音量も大きくなります。おそらく、受講生同士が互いの声や言葉の内容を気にせずに叫べるようにするためでしょう。
 自己啓発セミナーでは、生まれたばかりの人間を「ダイヤモンド」などと呼び、大人になってからの“自分”よりも純粋で可能性にみちたものだと教えます。この瞑想は、トラウマ探しに似た面もありますが、自己啓発セミナー流に言えば、「ダイヤモンド探し」なのでしょう。

ナイン・ドット

▲ナインドット

▲ナイン・ドット解答例
 これは一種のパズルというか、クイズです。メインのセミナー前の、無料説明会などで行なわれることが多いようです。
 縦横3列計9個の点全てを通過するように、4本の直線を一筆書きで引けというのが、パズルの内容。答えは、右の図のようになりますが、
「何かをする際、自分が勝手に作った枠組みのために可能性を封じ込めていないか?」 「自分の心の“殻”から自由になれば、もっと可能性が開ける」 という自己啓発セミナーの“教義”を説明する足がかりです。
 他にも
 「コップにノミを入れて蓋をする。中で飛び上がったノミは、蓋にぶつかってしまうので、やがて蓋よりも低いところまでしか飛ばない。すると、蓋をとっても、もう高くは飛ぼうとしなくなる」
 こんな話で、「自分の可能性を閉じ込めていないか?」と問いかけるセミナーもあります。

ダイアード

 2人1組で向かい合って着席し、与えられたテーマに沿って会話や発表をするという実習。セミナー中、テーマを変え何度も行われます。
 基本的に、話し手と聞き手という役割分担がはっきりしており、話し手が話している間、相手方はただ目を合わせているだけ(話し手も聞き手の目を見て話す)。わざと視線をそらせて行ったり、両者の距離をとって(また時として、両者の間に何か物を置いて)行ったり、場面によって多少のバリエーションをきかせることもあります。
 与えられるテーマは、「見た目の相手の印象」「自分の秘密」「過去のイヤな体験」「自分のイヤなところ」「いま欲しいもの、いましたいこと」などなど。これらのテーマについて、2人が交代で聞き手・話し手になります。

赤黒ゲーム

▼赤黒ゲーム得点表
 

1

2

3

4

・・・ 合計
チームA 得点 +5 -3 -5 +3 ・・・
投票 ・・・
チームB 投票 ・・・
得点 +5 -3 +3 -5 ・・・
 2つのチームが、チーム内で話し合いの上、「赤」「黒」どちらに投票するかを同時に発表し合い、高得点を目指すというゲーム。
 双方「黒」なら両チームとも3点プラス、双方「赤」なら両チームとも3点マイナス。「赤」「黒」で投票結果が別れた場合は、「黒」側が5点マイナス、「赤」側が3点プラスというルールで、これを何度か繰り返し、合計点を出します。
 ゲーム開始前にトレーナーから、
「このゲームの目的は、勝つことです」
 などと説明されます。
 「赤」を出し続ければ、仮に相手が「黒」を出した場合に、こちらは5点プラスで相手は3点マイナスとなり、相手より多い点数を得ることができます。両チームが同じことを考え、双方「赤」を出し続けると、互いに、負けることはありませんが、合計点はマイナスになります。
 「勝つことが目的」と言われるので、相手チームを打ち負かそうと、「赤」を投票するケースが多いようです。
 しかし、このゲームの自己啓発セミナー流の“正解”は、「黒を投票し続け、両チームともに高得点をとること」です。受講生たちが赤を投票し続けたくなるのは、当初の説明がまぎらわしいからなのですが、トレーナーは、
「あなた達は相手を負かすことしか考えなかった。日常生活でも同じことをやっていませんか?」
 というレクチャーを始めます。自己啓発セミナーの“教義”では、相手を負かすことよりも、ともに成功することが大切だとしています。赤黒ゲームは、その “教義” に説得力をもたせるためのものです。

意図と方法

 部屋の端から端へ、ひたすら移動を繰り返す、というものです。受講生が1人ずつ順番に移動しますが、前の人と同じ方法で移動してはいけない、というのがルールです。スキップしても転がってもいいんですが、その場でまだ誰もやっていない方法で移動しなければなりません。
 体を動かす実習なので、やっているうちにそれなりに楽しくもなるようです。
 やはり、直後のレクチャーで説明されるのですが、
「目的を達成するために辿るべき手段は一つではない」
 というのが、この実習の教訓です。
 赤黒ゲームも同じですが、セミナーの“教義”を単にレクチャーで伝えるのではなく、受講生にその場で何らかの考えや行動を行わせた上で、教訓を伝えていくのが、自己啓発セミナーの基本的なパターンです。

フィードバック

 実習名として使うケースもありますが、受講生の発言や行動に対して他の受講生やアシスタントなどがコメントをすること全般を指すこともあります。
 1人の受講生が、「過去の体験」「これからの目標」など、与えられたテーマに沿って個人の体験発表や意思表示をし、それに対して周囲がフィードバックをするという場面もあります。受講生のキャラクターや雰囲気について、ネガティブなコメントをひたすらぶつける、というルールで行う場合は、ネガティブ・フィードバック。逆に、誉め倒すのが、ポジティブ・フィードバック。それぞれ、日本創造教育研究所ではハードラブ、ソフトラブなどと呼ぶなど、セミナーによって呼び名が違うこともあるようです。

選択の実習

 「出会いの実習」「4つの選択」などとも呼ばれます。
 受講生が2重円状に並び、2つの円同士で向かい合って立ち、正面にいる受講生同士がジャンケンの要領でサインを出し合います。サインは、指を1本立てたら「無視」、2本なら「見つめる」、3本なら「握手」、4本なら「抱擁」。トレーナーの、
「一歩前へ。止まって、見て(目をあわせて)、投票!」
 というリズミカルな合図に合わせてサインを出し、互いのサインが一致しなければ何もせず(或いは一致するまで出し合い)、一致すれば、そのサインに込められた行動を実行します。
 それが済むと、フォークダンスの要領で2つの円が逆方向に回転し、一つ隣りの者同士が再び同様のことを繰り返します。
 この実習で受講生が出すサインは当初、「見つめ合う」「握手」という当たり障りのないものが多いようです。しかし、同じことを延々と繰り返す中で、トレーナーが
「その相手があなた達のかけがえのない人で、もう二度と会うことができないとしたら、それでいいのですか」
 などとけしかけます。時おり、サインが一致していようがいまいがサインを出したただけで何もさせずに円を回転させ、軽い不満感を感じさせながら「それがあなたの日常の姿です」などと一言はさむということもあります。
 そうこうするうち、最終的には「抱擁」のサインが大勢を占め、中には涙を流す受講生も出てきます。ある程度時間が経つと、二重円の陣形を崩し、会場内でランダムな相手と行わせます。
「異性との抱擁でも、性的な感情が生まれることは意外にない」
 という人もいますが、
「相手が若い女の子だったので、最初から抱擁のサイン出しまくり」
 というオジサン受講生もいました。
 「赤黒ゲーム」や「意図と方法」のようなゴタクはないようですが、要するに、スキンシップによって、他人と親密に関わり合うことの素晴らしさを体感するような、そんな実習なのでしょう。
 セミナーの第1段階で行われるのがふつうで、第1段階の最終日にもう一度、少しだけ同じようなことをする場面があります。
 最終日のさらに終盤で、目を閉じ、それまでのセミナーで学んだことなどを振り返る場面。やがてトレーナーが、
「あなたにこのセミナーを勧めてくれた紹介者を思い浮かべてください。あなたは、紹介者に何を投票しますか」
 目を閉じたままサインを出させ、そして目を開けさせます。すると受講生の目の前には、花束を持った紹介者が立っています。
 この頃には、「指4本(=抱擁)」を出すのが暗黙のルールだということを、どの受講生もわかっています。目を開けたら紹介者が立っていたという驚きと喜びに加えて、「ここは抱き合う場面ですよ」という筋道がちゃんとできているわけです。
 自己啓発セミナーの実習が、単に「いろいろやる」というだけではなく、後々の演出の伏線にもなっているという、わかりやすい例のひとつです。

ライフ・ボート

 アメリカの初期の自己啓発セミナーである、Lifespring 社。ここでも行われていたという、自己啓発セミナーの伝統的な実習です。
 受講生に、一人あたり5枚のカードが配られます。トレーナーから、
「皆さんが乗り合わせた船が事故で沈没しかかっています。脱出用のボートには5人しか乗れません。皆さんは、順番に船長になったつもりで、そのボートに乗せる5人を選んで下さい」 
 という説明と指示があります。当然、この実習は、5名よりもはるかに多い人数のグループ単位で行なわれるので、必ず “犠牲者” が出ます。
 受講生たちは順番に、他の受講生一人一人の正面に立ち
「あなたは生きます(投票する)」
「あなたは死にます(投票しない)」
 という言葉とともに計5票のカードを配ります。
 投票される側の人は、ただ投票を待つだけではなく、自分に投票してくれるようアピールしたり、自分は犠牲になっていいので他の人に投票してくれと主張したりします。投票する側は、より生きたいと思っている人や、生きる価値があるように思える人、自分が生かしてあげたいと思う人に投票します。自分に投票することもできます。
 ここでも、先に説明したフィードバックのようなことが行われます。「自分に投票してくれ」という人に対して、「生きたいという意思が伝わってこない」というフィードバックが返されたり、「私への1票を他の誰かに」と言った人が、偽善者と罵られたり。
 「自分が生きる」ことと「他人を生かす」こととの、どちらが善いことかを決めるための実習ではないようです。ひたすら、「生きる」とか「生かす」というテーマをめぐって叫びあうだけ。
 最終的には、得票数の上位5名が「生きる」ことになり、外の受講生は「死ぬ」。そして「死ぬ」人たちは、「生きる」5人に、家族や知人宛の“遺言”を遺します。
 締めくくりでは、「死ぬ」人たちに目を閉じさせ、「最期の1分」をイメージさせます。トレーナーは、その最中に思ったことを言葉に出して言うように指示し、やがて「死」へのカウントダウンが始まります。カウントがゼロになったところで照明が落ち、しばらくの静寂が訪れます。トレーナーが、
「それでは目を開けて下さい。そこは病院のベッドの上です。皆さんは、奇跡的にも助かりました」
 と言い、実習は終了。
 このオチは、どうもセミナーによって違うようで、「死んだけど生まれ変わりました」という場合もあるようです。
 どちらも、あまり変わらない気はしますが。

第3段階の勧誘実習

 ライフ型セミナーもランドマークでも、受講生に勧誘活動を課します。ライフ型セミナーの場合、それは主に第3段階のコースです。ここで、
「セミナーで学んだコミュニケーションを日常で実践する」
「大切な人に、セミナー体験を共有してもらう」
 などという名目で、受講生に、身近な人を勧誘してくるように促します。
 受講生は、個人の勧誘達成目標と受講生グループでの目標を掲げます。名目上は“自主目標”ということになっていますが、アシスタントやトレーナー、他の受講生などが、個々人の目標値をもっと上げるように指示したり、実現不可能な目標を下方修正させたりします。また、目標達成に向けてテンションを煽ったりプレッシャーをかけたりしますから、この“目標”は、事実上の勧誘ノルマです。
 勧誘活動は無償です。
 何人勧誘しても、受講生は一銭も儲かりません。ここが、マルチ商法やネズミ講との違いです。
 電話代、移動費、勧誘の際に利用した喫茶店などへの支払いも、全て受講生の負担です。受講生にセミナー会社のオフィス内から電話をかけさせることもあり、この場合はもちろん、電話代はセミナー会社持ちですが(元スタッフによると、セミナー会社にとっても、この電話代はバカにならないのだとか)。
 勧誘活動が無償だという点は、ほとんどと言っていいほど例外はないようです。唯一、メディオス(シフトプレイス、シーイング)については、
「一定以上の勧誘に成功すると、第1段階受講料金と同額の“奨学金”が支払われる」
 という、やや具体的な情報が2001年頃にありました。結局、真偽は確認できませんでした。しかし、2003年の時点で、同社がブランド品、旅行、ホテルでのディナーなどを景品として、受講生同士に勧誘競争をさせていることがわかっています。